天狗風―霊験お初捕物控〈2〉 (講談社文庫)



天狗風―霊験お初捕物控〈2〉 (講談社文庫)
天狗風―霊験お初捕物控〈2〉 (講談社文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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まだまだ読みたいお初の捕物帳

読み終わって一寸しんみりした.著者の江戸物は深川に住んで四代目の筋金入りの東京言葉で書かれているのが他の作者に真似のできない貴重な正統性を保証してくれるだけに,このお初物もやはりかけがえのない存在なのだ.それがこの作品が書かれて以来十年余に亘って新作がないのは,由々しき欠落といはずばなるまい.震える岩 から 天狗風 と話の柄が大きくなってはきたが,著者の実力を以てすれば,これでお終いと言うのには早すぎる.まあ著者がその気になってくれなければどうしようもないことだけれど,そろそろ次のお初物をねだっても罰は当るまいと思ってはいけませんか.捕物帳は何より人情噺で風俗誌を兼ねる本質上,見掛けよりも手が掛かるものだってことは承知の上でのお願いなのですけど.聞いちゃあ頂けますまいか.
次作が早く読みたい!

 主人公のお初は、現代でいえばサイキック、超能力者です。人には見えないものが見えたり、ものにふれるとそこに残っている持ち主の思いを読み取ったり、その不思議なチカラで事件の謎を解いていきます。

 こういった設定は、ある意味なんでもありのストーリーになりがちで、だからこそキャラクターが魅力的でないとおもしろくないし、ラストをどういう風に持っていくか、というところが大事なわけですが、そこはさすが宮部みゆき、なのです。”おてんば”という言葉がぴったりのお初はとてもかわいらしいし、どこまでも不器用でまじめな右京之介、お初の兄夫婦や板前の加吉など、お初を取り巻く面々はとても人情にあふれ、魅力的な人たちです。

 ストーリー展開もスピードがあり、けっこうな長編小説であるにもかかわらず、厚みを感じさせません。今回は人と会話ができる不思議な猫ちゃんたちも登場し、さらにおもしろくなっています。

 お初と右京之介のふたりも、何となくいい雰囲気になっているし、早く次の作品が読みたいです。
初と登場人物たちとの掛け合いがとても楽しいシリーズ第二長編

不気味なほどに赤い朝焼けのもと、疾風とともに消えてしまう娘たち。人には見えないモノを見、感じることのできる飯屋の娘お初が、南町奉行根岸鎮衛に頼まれて神隠しの謎を追う、捕物帳にオカルト風味を加えた、シリーズ長編二作目。
ハッキリとは書けませんが、お初が相手するのは人間の負の感情が生み出したおぞましくもあわれなバケモノだけあって、なんとも切なく重苦しい話ではあるのですが、読後感がそれほど悪くない(悪いどころかとても良い)のは、お初をはじめ、岡っ引きの兄六蔵、その妻およし、お初と事件にあたる古沢右京之介ら、個性立った登場人物のおかげ。特に、鉄、すず、和尚らとお初の掛け合いが本作だけではもったいないくらいにおもしろい。話の鍵を握るこの三人(?)の正体は何なのかというところも読みどころです。
ゾッとさせられ、クスッと微笑まされ、感動させられる、霊験お初のシリーズ。次作がとても楽しみです。
二人で一人

充分面白いのですが、前作に比べるとやや密度が落ちるか。

人に見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえるという霊験の持ち主のお初が岡っ引で兄の六蔵や、鬼と呼ばれる吟見方与力古沢武左衛門の嫡男で、算額を学んでいるの古沢右京之介とともに事件を解決していくシリーズの第2作目。
今回は一陣の突風とともに嫁入り前の娘が神隠しにあってしまう、不可思議な事件に挑みます。
捕物帖は現代の警察小説と違い、時代のせいか様々な物証が曖昧になります。神業的な捕り手の推理が鍵を握ります。本作はその担い手に超能力の持ち主を持ってきたのが面白い趣向です。
とはいうものの、現代を舞台にした彼女の作品ではそういうものは多いです。
その場合は超能力者というものが世間の目に痛めつけられたり、能力者であるが故に苦悩したりする、というテーマが加わります。本作にはそういった部分はあまり見受けられませんでした。今後出てくるのでしょうか。
宮部の超能力物では能力者の先達(かつ理解者)がいて、その人たちのアドヴァイスにより、年若い能力者は世間との距離の取り方を学ぶという場面がよくありますが、その役目は怪奇譚『耳袋』を私的に編纂している南町奉行根岸肥前守が果たしています。
算額を学んでいる右京之介は「筋道立てて込み入った事情を解く」のが得意です。お初は霊験はあっても、そういった推理は得意ではありません。霊験と推理。実は二人で一人なのかもしれません。二人の関係、これからも見逃せません。ツンツン怒るお初にオロオロする右京之介という絵面はもうお馴染みといって良いくらいで、好きです。
面白い!

宮部さんの、時代物はどれも面白い物が多いけど、これは、大好きなシリーズ。1のが内容は濃いような気がするけれど、これもひけをとらず面白いと思います。それはやっぱり猫キャラのおかげもあるかな?鉄がかわいい!出てくるキャラたちも、みんなすごい個性があって読んでいて楽しいです。結構分厚いけどいっきに読めちゃいます。次回作がもしあるなら、それも是非読みたい。



講談社
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